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唾液腺・涙腺の再生医療
唾液腺・涙腺の再生医療

外分泌腺の機能不全の根治療法への期待

分泌腺は、ホルモンなどを末梢血中に分泌する内分泌腺と、唾液や涙液などを導管に分泌する外分泌腺があり、生体の恒常性の維持に重要な役割を果たしています。外分泌腺である唾液腺より分泌される唾液は、食物の消化や口の中の洗浄、殺菌、歯質の保護する役割を担っています。一方、涙腺は、涙液を眼表面に分泌することにより角膜上皮細胞を保護することにより、眼表面を保護するなどの役割を担っています。老化やストレス、自己免疫疾患、がん治療のための放射線照射によって、これら分泌腺の機能低下が生じると、口腔乾燥症 (ドライマウス) やドライアイが引き起こされ、唾液腺では、感染症や嚥下障害、涙腺では眼表面の細胞が障害され、目の不快感や深刻な視機能の低下の要因となり、生活の質が著しく低下します。
現在、外分泌液の減少に対する治療法は人工唾液や人工涙液点眼を主とした対症療法が中心であり、根治的な治療法の開発が望まれています。私たちは、これら外分泌腺再生医療の実現を目指して、唾液腺と涙腺を再生する技術の開発を進めています。

唾液腺を再生する

分泌腺も他の器官と同様に上皮性、並びに間葉性幹細胞の相互作用によって発生します。私たちは器官原基法により唾液腺原基を再生して、唾液を分泌する導管と接続し、天然の唾液腺の構造を再現して唾液分泌する唾液腺を再生しました。さらに唾液腺を全摘出した嚥下障害モデルマウスにおいて、その機能不全を完全に回復させました。これらのことから再生唾液腺を同所性に移植することにより、口腔乾燥症に対する新たな治療法としての実現可能性が示されました。

涙腺を再生する

涙腺再生においても、再生涙液腺原基は天然の分泌腺と同様の組織構造を持ち、神経線維など周囲組織と連携して、外部からの刺激により正常マウスと同等量の涙液の分泌が可能です。さらに再生涙腺を移植したマウスは、眼障害面積と角膜上皮厚がそれぞれ有意に改善され、正常マウスと同等レベルに回復したことから、再生涙腺の同所性の移植により、ドライアイの新たな治療法としての可能性が示されました。

分泌腺再生の臨床応用に向けた研究・開発

分泌腺原基は、胎児期に一度だけしか発生しないため、成体より幹細胞を入手することは困難だと考えられています。そのため、器官再生治療に用いるための細胞シーズを見つけることが大きな課題であり、現在、iPS 細胞からの唾液腺誘導技術開発を進めています (A-MED、再生ネットワーク実現拠点事業)。