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三次元臓器培養システム
三次元臓器培養システム

移植医療において大幅に不足する提供臓器

疾患や傷害によって機能不全に陥った臓器の治療は移植医療しかありません。現在の移植医療では、脳死患者からの臓器提供や生体から摘出した臓器 (主に日本のみ) が用いられています。しかしながら、臓器移植が必要な患者数に対して提供臓器の絶対数は大幅に不足した深刻な状況にあり、この改善が移植医療の大きな課題です。現在の移植医療では、摘出した臓器を臓器保存液に低温下で保存する方法が行われているものの、保存時間が短く、保存時間の延長が期待されています。また心停止患者の臓器は極めて短時間 (肝臓の場合は数分) で移植不適応となるため、この心停止後臓器提供者 (DCD ドナー) の臓器の利用拡大が世界中で大きな課題になっています。私たちは、これらの問題を解決するため、臓器保存時間の延長や DCD ドナー臓器の蘇生、ひいては臓器そのものを育成するためのシステムを開発しています。

これまでの技術と現在の世界での取り組み

臓器保存技術は、第一世代として臓器保存液を用いて摘出臓器を冷温下で浸漬させて保存する単純冷却技術であり、簡便であること、さらに臓器保存液の改良により保存時間の延長が可能であるものの、その限界保存時間は短いと考えられています。第二世代は、臓器の動・静脈経路に臓器保存液を低温下で臓器保存液を灌流させる冷温灌流保存技術が開発され、腎臓保存装置が製品として販売されています。最近、第三世代臓器保存機器として、新たな臓器保存液を温度制御下で灌流する機器の開発が進められています。

私たちの新たな開発戦略と成果

私たちは、革新的な灌流培養システムの開発を目指して、灌流培養液や酸素運搬システム、灌流の温度制御に着目し、私たちは、まず臓器の長期保存、心停止ドナー臓器の蘇生を目指し、そのシステムを応用して臓器の育成システムを開発する戦略でアプローチしています。私たちの灌流培養システムは、臓器保存液ではなく、細胞培養液に酸素運搬体として赤血球を添加すること、温度域を20−25度にすることによって肝臓の保存時間の画期的な延長を可能としました。さらに心停止ドナーに由来する移植不適応な肝臓を蘇生し、生体で機能させることに成功しました。

革新的な三次元灌流培養システムの応用に向けて

私たちが開発した三次元灌流培養システムは臓器保存と蘇生に応用可能であることから、大型動物を用いて、ヒトでの臨床応用を進めるべき研究を進めています。この機器は、臨床での医療機器のほか、臓器保存や臓器の代謝試験のための試験研究機器としてライフサイエンス分野での販売も想定しています。さらにこの灌流培養システムを、将来の三次元立体臓器の製造のための培養機器への応用も目指しています。私たちは、この研究開発を進めることにより、生命にかかわる移植医療を支援し、新しい移植医療のパラダイムを開拓し、世界の人々の生命にかかわる健康に貢献することを目指します。